【2023年夏特集①】東京都で地下水汚染拡大防止対策等による土地活用の実証事業が始まります!

◆8月中にも「被覆盛土」による土地活用希望者、9月以降「地下水汚染拡大防止対策」による土地活用希望者の募集を開始予定◆


今年度から中小規模事業者土壌汚染対策を支援する実証事業を開始する東京都は7月3日、実証事業のうち「地下水汚染拡大防止対策」による土地活用で使用可能な技術の公募を開始するなど動きを本格化させています。

8月中には「地下水汚染拡大防止技術評価委員会」において技術を評価し、9月にも対象技術を公表する予定としているほか、同実証事業で行うもう1つの柱である「盛土被覆」による土地活用を目指す案件の募集も始める見通しになっています。


◆土地所有者等の負担軽減と基準不適合土地の活用促進、温室効果ガスの削減◆


この注目される都の中小規模事業者土壌汚染対策支援実証事業は、円滑な土地利用の転換と、掘削除去の削減・抑制を視野に土壌の3Rに誘導する取り組みが必要になっていることを踏まえたもので、土壌汚染対策法で指定されている物質等が基準不適合となっている土地において新たに土地活用を行う人を支援するもの。

従来広く使われてきた掘削除去ではなく、「盛土被覆」や「地下水汚染拡大防止対策等」を施した土地の活用を促し、売り主側の中小事業者の負担軽減及び土地の活用促進、土壌汚染対策に伴う温室効果ガスの排出抑制等の促進等の効果を検証するもので、今年度から5年程度を目安に実施するとしています。

スキーム案によると、売り主となる中小事業者は都が指定した「土地利用転換時アドバイザー」による最低限の法定対策、買主マッチング等の助言などの下、「被覆盛土」や「地下水汚染拡散防止対策」など法で定められた措置のみを実施。売り主と買い主は「土地利用転換時アドバイザー」によるコーディネートを受け、買い主は土地利用転換時アドバイザーによる買主の土地利用計画に応じた助言の下、被覆盛土等により管理しながら土地を活用することになります。

この実証事業では、基準不適合土壌のある土地の売買にあたり、「土地利用転換時アドバイザー」、不動産鑑定士、東京都等が仲介・助言。アドバイザーは、売主に「掘削除去は不要」で「基準不適合土壌を残置して土地取引可能」なことを助言するほか、基準不適合土壌を残置して土地活用する買主の情報を持つ不動産仲介業者等とともにコーディネートするとしています。

なお、「土地利用転換時アドバイザー」は、すでに設けられている事業廃止時や操業中事業者向けのアドバイザーとは別に新たに設けるアドバイザーで、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関である「東京カンテイ」(東京都品川区上大崎3-8-3、長田千江美社長)がアドバイザーとして選定されています。


◆狭い土地でも低コストで行える地下水汚染拡大防止対策技術を選定へ◆


「被覆盛土」については実証事業における技術選定などはありませんが、「地下水汚染拡大防止対策」による土地活用は、都が選定した原位置浄化技術や透過性地下水浄化壁、封じ込め、不溶化等を使う必要があります。

現在公募中の「地下水汚染拡大防止技術」は、狭隘な土地でも施工が可能であることがポイントとなっており、都が設定した土地の形状(間口が狭く機器等の搬入が狭い等)や粘性土までVOC類が浸透してしまっていること等の条件下で施工可能な技術を標準とする考えになっています。

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