土壌汚染サンプリング調査の技術力向上を柱に20年信頼築きあげたエコプローブ協会

◆エコプローブ協会・遠藤康之新会長インタビュー◆

土壌汚染のサンプリング調査を行うボーリングマシン「エコプローブ」を保有する企業が集まって設立されたエコプローブ協会では、今年〈2025年〉6月の定時総会で遠藤康之新会長〈株式会社PEC代表取締役〉が選任されました。昨年設立20年を迎えた同協会の5代目会長となります。設立以降、高い技術力の維持で業界の信頼を得てきた同協会において新たな体制の下、どのようなことに取り組んでいくのか。新会長の遠藤氏に話しを聞きました。〈エコビジネスライター・名古屋悟〉

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◆会員相互の技術力向上を目指して21年目◆

――新会長就任から4カ月が経過しましたが、今のお気持ちは。

「当協会は2006年に設立され、21年目を迎えました。設立以降、尽力されてきた岡田宏前会長はじめ歴代の会長、役員の皆さまに心より敬意を表します。そして私にこの大役をお任せいただきましたこと、誠に光栄に思うと同時に、責任の重さをひしひしと感じています」

――協会では様々な活動を行い、業界や社会に貢献してきたと思います。

「協会では設立当初から『会員の技術力向上』を柱として活動を続けてきました。当協会の名前にもなっているエコプローブは、土壌環境調査用に開発されたボーリングマシンであり、そのエコプローブを保有する企業が会員として集まり、会員各社のオペレーターの技術力を高め、質の高い均一な技術力で顧客に満足いただけるサービスを提供できるように努めてきました。その結果、発注者の信頼を得ることができたのだと思っています。

こうした信頼は、ホームページ等に書かれた情報だけで分かるものではなく、会員各社の長きにわたる誠意ある努力によって積み上げてこられたものだと思っています」

◆質の高い技術力の維持へマニュアル作成や技術講習会の継続的な実施◆

――具体的に信頼を得るに至ったポイントはどのような点だと思っていますか?

「技術力の向上とその維持に向けた協会及び会員企業の取り組みと、会員各社の強固な連携がポイントだと考えています。

協会では高いレベルの技術力を維持していくために、マニュアルの作成や技術講習会の開催等に努めてきました。技術講習会はメーカーである東亜利根ボーリングの協力を得ながら技術力を維持向上させるための講習で、各社の現場オペレーターが一堂に会し、サンプリング技術の向上に繋がる活動を行ってまいりました。講習会では、意見交換等を通じて各社担当者が親睦を深め、互いに技術力や意識を高め合ってきました。

また、こうした活動が協会会員同士の密接な関係を築き、横の連携の強化にも繋がりました。

連携が強化されたことで、例えば大規模な現場でのサンプリング調査案件において、緊密な横の連携から各社で調整し、エコプローブ機の台数を現場にそろえることができ、スムーズなサンプリング調査を行う機会が幾度も生まれました。

各社個別の現場での活動に加え、こうした横のつながりを感じられる活動が『エコプローブ協会の会員企業に任せれば問題ない』という発注者からの信頼を得るに至ったものだと思っています」

――協会会員が保有するのが、環境調査用掘削機「エコプローブ」シリーズですが、その利点等を改めて教えてください。

「エコプローブは、東亜利根ボーリング社製の掘削機で、ベントナイト泥水を使わない無水掘削専用機です。無水サンプリングが試料の発熱を抑え、品質を確保します。さらに、高周波低騒音バイブロと回転トルクを組み合わせた豊富な掘削バリエーションにより、軟弱地盤から硬質礫層まで幅広い地質に対応でき、打撃式に比べると低騒音で回転式よりも圧倒的に早いサンプリングが可能な点などが特徴です。二重管工法の採用によりサンプリングと井戸仕上げが同時に可能です。また、自走式である点なども特徴で、現場での作業性が極めて高い点も大きな特徴です。

機種も主力の『EP-26』や耐久性、メンテナンス性を高めたマイナーチェンジモデル『EP-26N』のほか、室内での掘削作業が可能な『EP-10LH』や『EP-15LH』等の小型機もあり、現場に合わせた施工が可能です。

メーカーとのコミュニケーションも盛んに行ってきた結果、会員企業の現場オペレーターの声等も反映され、非常に作業性、メンテナンス性の高い機種になりました。

協会にはこのエコプローブ機を保有する30社が参加しています。会員は北海道から九州まで各地域に所在しています。

先にも言いましたが、会員同士の強固な連携により、現場に合わせた応援体制を構築できることで、全国津々浦々柔軟に対応が可能になっています」

――2003年の土壌汚染対策法施行を機に土壌汚染調査の需要が増えていく中で誕生した協会ですが、現在の業界をどのように感じていますか?

「当協会会員は、土壌汚染のサンプリング調査をメインに請け負っていますが、土壌汚染対策法の施行当初の頃から比べると、一時期のバブル的な需要の高さに比べると調査市場は件数の面でやや落ち着いた感じがあります。

一方で、個人的な感触ではありますが、調査井戸の本数が多くエコプローブ機の台数が必要な大きな案件が増えているように感じています。この辺りの理由等を詳細には検討していませんが、こうした案件ではやはり当協会の会員の連携の良さが生きてきています。

また、土壌汚染対策法や各都道府県の条例等に基づく調査だけでなく、M&A等を契機とした自主的な調査の案件等も目立つようになっているように思います。

加えて、昨今ではこれも当社の感触ですが、有機フッ素化合物〈PFAS〉関係の問い合わせが増えてきています。この辺りは今後、どのように需要が動くのかは未知数ですが、協会としても注視しています」

◆機器のポテンシャルの高さを再認識して他分野への展開や人材確保に向けた広報活動等を展開へ◆

――今後の活動に向けて。

「エコプローブ機は、土壌汚染調査の現場において長年にわたり重要な役割を果たしてきました。しかし、時代の流れとともにその活気がやや薄れてきたことも否めない現状です。だからこそ今、私たちはこの機器のポテンシャルを再認識し、土壌調査にとどまらず、井戸工事など様々な分野での新たな活用を模索・実現していく必要もあると考えています。

また、技術面での話ではありませんが、建設業界は総じて高齢化の進展とともに今後の担い手不足が深刻です。当協会会員企業においてもこの点は顕著になっており、今後の大きな課題と考えています。とりわけ当協会会員が関係する井戸掘削業は一般的な認知度も高いとは言えず、業界の認知度向上や魅力の発信は今後の担い手確保に向けてとても大切なことだと考えており、今後は広報活動も協会活動において重要になってくると考えています。

今後も設立当初から大切にしてきた技術を活かし、現場を支え、社会に貢献するという原点を大切にしながら、新しい一歩を踏み出してまいりたいと考えています」

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広報「土壌汚染情報局~中小企業・個人事業者が向き合う土壌汚染」~Presented by ECO SEED

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